丸いフランスパンのブールとは?バゲットとの違いや自宅で上手に焼くコツを紹介

フランスパンといえば細長いバゲットが定番ですが、丸い形の「ブール」も根強い人気があります。外側のパリッとした香ばしさはそのままに、中身のふんわりとした柔らかさを存分に楽しめるのが特徴です。食卓に並べるだけで華やかになる丸いフランスパンの魅力と、自宅で美味しく焼くための秘訣を詳しくご紹介します。

目次

丸いフランスパンは「ブール系」で香ばしさと食べやすさが魅力

丸いフランスパンは、フランス語で「ボール」を意味する「ブール(Boule)」と呼ばれます。バゲットと同じ生地を使いながらも、その形状の違いによって異なる食感の魅力を引き出しています。また、田舎パンとして親しまれる「カンパーニュ」もこの丸型が一般的で、素朴で温かみのあるビジュアルが多くのパン好きに愛されています。

「ブール」「カンパーニュ」など呼び名が複数ある

丸いフランスパンには、その配合や由来によっていくつかの呼び名があります。最も一般的な「ブール」は、小麦粉、水、塩、酵母というシンプルな材料で作られる丸いパンを指します。実はフランス語の「ブーランジェリー(パン屋)」という言葉も、この「ブール」を作る人、という言葉から派生したといわれるほど、フランスパンの原点ともいえる形です。

一方、よく似た丸型のパンに「パンドカンパーニュ(田舎パン)」があります。こちらは精製された小麦粉だけでなく、ライ麦粉や全粒粉を混ぜて作られることが多く、少し色が濃くて独特の酸味や深みがあるのが特徴です。ブールが軽やかでクリーンな味わいなのに対し、カンパーニュはどっしりとした力強さがあります。どちらも丸い形をしていますが、その日の気分や合わせる料理によって選ぶ楽しみがあります。

バゲットと違うのは形・食感・切り分けやすさ

細長いバゲットと丸いブールの最大の違いは、表面(クラスト)と中身(クラム)の比率にあります。バゲットは細長いため表面積が広く、バリバリとした香ばしい皮を主に楽しむパンです。対して丸いブールは、中心部分の厚みがあるため、フランスパン特有の気泡を含んだ「しっとり・もちもち」とした中身を贅沢に味わうことができます。

また、使い勝手の良さも魅力の一つです。バゲットは斜めにスライスするのが基本ですが、丸いフランスパンは横にスライスして大きなサンドイッチにしたり、上部をくり抜いて「パングラタン」の器にしたりと、アレンジの幅が非常に広いです。一度に食べきれない場合も、厚切りにしてトーストすれば、外のサクサク感と中のふんわり感のコントラストをより鮮明に楽しむことができます。

クラムのしっとり感とクラストの香ばしさが特徴

丸いフランスパンを口に運んだとき、まず驚かされるのがその質感のコントラストです。高温で一気に焼き上げられた外側の皮は、バゲットよりも少し厚めに仕上がることが多く、噛みしめるほどに小麦の焼けた香ばしさが鼻を抜けます。この厚みのある皮が、中の水分をしっかりと閉じ込める蓋のような役割を果たしてくれます。

そのため、中身(クラム)は驚くほど瑞々しく、しっとりとした質感に仕上がります。大きな気泡がランダムに入った中身は、弾力がありながらも口どけが良く、小麦本来の甘みが凝縮されています。この「外はガッチリ、中はふんわり」という二面性こそが、丸いフランスパンの醍醐味です。シンプルだからこそ、素材の良さと焼き上げの技術がダイレクトに伝わる、奥深い味わいを持っています。

料理との相性は「スープ・チーズ・バター」が強い

丸いフランスパンは、食事を引き立てる「お供」として非常に優秀です。特に水分を吸収しやすいしっとりした中身は、スープやシチューに浸して食べるのに最適です。オニオングラタンスープのように、スープの上にパンを浮かべてチーズをのせて焼く料理では、ブールの厚みがスープを吸い込み、最高のご馳走に変わります。

また、チーズやバターとの相性も抜群です。断面が広いため、カマンベールやブルーチーズといった個性の強いチーズをたっぷりのせてもパンの味が負けません。有塩バターを厚めに塗って少しだけトーストすれば、バターがパンの気泡の中にじゅわっと染み込み、シンプルながらも贅沢な軽食が完成します。ワインとの相性も良いため、ディナーのメインディッシュに添えるパンとしても、これ以上ない選択肢となります。

丸いフランスパン作りがはかどるおすすめアイテム

自宅で本格的な丸いフランスパンを焼くためには、道具選びが重要です。フランスパンはシンプルな材料で作るからこそ、専用の粉や発酵道具を使うことで、仕上がりのクオリティが格段にアップします。初心者からこだわり派まで使えるおすすめのアイテムをご紹介します。

カテゴリアイテム名特徴・メリット公式サイト/製品情報
小麦粉ニップン リスドォルフランスパン用粉の定番。香ばしい皮と風味の良い中身に仕上がります。ニップン公式サイト
イーストサフ インスタントドライイースト(赤)予備発酵不要で安定した発酵力。素材の味を邪魔しないクリアな香りが特徴。日仏商事株式会社
発酵道具天然籐製 バヌトン(丸型)カンパーニュ等の発酵に使用。余分な水分を吸い、美しい模様を付けます。浅井商店(参考)
成形道具ビクトリノックス クープナイフ切れ味が鋭く、パンの表面に美しい割れ目(クープ)を入れるための必須アイテム。ビクトリノックス・ジャパン
焼成道具ロッジ 鋳鉄製ダッチオーブン鍋ごとオーブンに入れることで、蒸気を閉じ込め家庭でもプロ級の焼き上がりに。LODGE(ロッジ)公式
焼成道具遠赤外線ベーキングストーンオーブン皿に敷くだけで、パンの底からしっかり熱を伝え、膨らみを助けます。デロンギ・ジャパン
補助道具霧吹き(細霧タイプ)焼成直前に生地に吹きかけることで、皮を薄くパリッと仕上げることができます。マルハチ産業株式会社

丸いフランスパンを上手に焼くコツは「発酵・成形・蒸気」

家庭のオーブンで丸いフランスパンを本格的に仕上げるには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。細長いバゲットに比べて丸い形は成形がシンプルですが、その分「生地の張り」や「焼成時の蒸気」が仕上がりの美しさと食感を大きく左右します。

発酵の見極めは指の跡がゆっくり戻る状態

フランスパン作りにおいて、発酵の具合を見極めることは非常に重要です。特に一次発酵が終わった際に行う「フィンガーテスト」は、生地の状態を知るための大切な合図です。強力粉をつけた指を生地の中央に軽く差し込み、抜いた後の穴が塞がらず、わずかに戻る程度であれば、発酵が順調に進んでいる証拠です。

もし指を抜いた瞬間に穴がすぐに閉じてしまう場合は、まだ発酵不足です。逆に、生地全体がプシューとしぼんでしまう場合は過発酵となり、焼き上がりの香りが悪くなったり、膨らみが悪くなったりします。丸いパンは中身の食感が重要ですので、気泡を潰しすぎないように優しく扱いながら、生地が元の2倍程度の大きさになるまでじっくりと見守ることが大切です。

丸めは張りを作って「表面をピンとさせる」

成形の工程では、ただ丸く形を整えるのではなく、生地の表面にしっかりと「張り」を持たせることが成功の秘訣です。生地の端を中央に集めるようにして綴じ目をまとめ、台の上で転がしながら表面の皮をピンと張らせます。この表面の張りが、オーブンの中で生地が大きく膨らもうとする力を支えてくれます。

張りが足りないと、焼いている途中に横に広がってしまい、平べったいパンになってしまいます。また、表面を滑らかに整えることで、後で行う「クープ(切り込み)」が綺麗に開きやすくなります。バヌトン(発酵かご)を使う場合は、粉をしっかり振ったかごに綴じ目を上にして入れ、最終発酵させます。かごを使うことで、生地の形が安定し、プロのような渦巻き模様が表面に付いて美しく仕上がります。

クープは浅く一直線より「曲線」で開かせる

丸いフランスパンの顔ともいえるのが、表面に入った切り込み「クープ」です。これには単なる模様としての役割だけでなく、オーブンの熱で生地が急激に膨らむ際に、ガスを逃がしてパンが破裂するのを防ぐという重要な役割があります。ブールの場合は、十字に入れたり、大きく一本入れたりとバリエーションがありますが、カミソリを少し寝かせて入れるのがコツです。

クープを入れる際は、迷わずにスッと一気に刃を動かしましょう。浅すぎると十分に開かず、深すぎると形が崩れてしまいます。理想は皮の表面一枚を薄く削ぐようなイメージです。丸い形に合わせて少し曲線を描くように刃を入れると、焼き上がったときにクープが花が開いたように美しく広がり、エッジの立った香ばしい仕上がりになります。

焼成は蒸気を入れて「最初に膨らませる」

フランスパン特有のパリッとした薄い皮を作るためには、オーブン内の「蒸気」が欠かせません。焼成の初期段階で蒸気があることで、生地の表面が乾燥して固まるのを遅らせ、その間にパンが最大限に膨らむことができます。家庭用オーブンにスチーム機能がない場合は、霧吹きで生地にたっぷりと水をかけたり、予熱した耐熱皿に熱湯を注いで蒸気を出したり工夫が必要です。

また、ダッチオーブンなどの鋳鉄鍋に生地を入れて蓋をして焼く「鍋焼き」という手法も非常に効果的です。パン自身の水分で鍋の中が蒸された状態になり、驚くほどクープが開き、表面が艶やかに仕上がります。最初の10〜15分は蒸気の中でしっかり膨らませ、後半に蓋を外して(またはスチームを止めて)乾燥させながら焼き色を付けることで、プロ級の丸いフランスパンが完成します。

まとめ:丸いフランスパンは道具と工程で失敗しにくくなる

丸いフランスパン「ブール」は、バゲットよりも成形がしやすく、家庭でも本格的な味に挑戦しやすいパンです。リスドォルなどの専用粉を使い、バヌトンやクープナイフといった道具を揃えることで、パン作りの楽しさはさらに広がります。何より、自分で焼き上げたパンの香ばしさと、中のしっとりとした質感の調和は、手作りならではの贅沢です。

発酵の見極めや表面の張りの作り方、そして蒸気を使った焼き上げのコツを意識すれば、回を重ねるごとにクープの開きも美しくなっていきます。スープに合わせて、あるいは贅沢に厚切りトーストにして。あなたの食卓に、焼きたての丸いフランスパンがある豊かな時間をぜひ楽しんでみてください。丁寧に工程を重ねたパンは、きっと期待を裏切らない美味しさで応えてくれるはずです。“`

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この記事を書いた人

パンの香りって、それだけで一日がちょっと良くなる気がして大好きです。ふわふわの食パンも、噛むほど甘い麦パンも、土地ごとのパン文化も、知れば知るほど奥が深いのが楽しいところ。地域のパンや各地のベーカリー、朝食の豆知識などパンの世界をまるごと楽しめる情報を発信します。

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